論文紹介


「児童生徒のいじめ・自殺問題について」の討論をふまえて

笠松 正憲


愛知政治大学院 個人論文個人(2007.2作成)

コメント: 


 衆議院議員馬渡龍治先生をお迎えした「児童生徒のいじめ・自殺問題について」の対話は、院生の実体験あり、現役教師の教育現場の話ありで、実に有意義な議論であった。

 今般の改正教育基本法では新たに『父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって』という条文が加わった。すなわち保護者の責任について条文に新たにうたったわけである。なるほど、保護者が十分にしつけできれば教育現場で現在問題となっている相当な数のいじめを減らすことができると私は思う。しかしながら、実際の教育現場の話では残念ながらそれができない親が増えているそうである。馬渡龍治先生の『こうなったら、国がかりでこどものしつけをして、そのこどもが親になるのを待つしかないのかも知れません。百年の計です。』との意見、今の教育現場を鑑みると正論である。

 インターネットで興味ある話題があった。『いじめを防ぐための法律は現在、日本にありません。あなたは、いじめを防止するための法律を整備するべきだと思いますか?』(1)という問いである。結果は「思う」39.28%、「思わない」60.71%であった。現状、アメリカにおいては22の州政府が『いじめ防止法』を制定していている。私は、法で管理することをもっていじめを減らすことはできないと考える。教育論議の多く(いじめ問題を含め)は、先生や生徒をいかに監視し、管理するかという発想から出ているように思えてならならない。『いじめを防ぐための法律』も同様である。生徒が先生の顔色をうかがい、先生が教育委員会や政府の顔色をうかがうようになれば、教育は再生するどころか死滅してしまうのではないか。

 そもそも日本の教育コストは低すぎるのではないか。平成18年版「教育指標の国際比較」(2)によると、日本のGDPに対する学校教育費比率(公財政支出)は、30カ国中29位(3.5%)である(参考値:アメリカ5.3%,OECD各国平均5.1%)。30人学級など、手厚く人を配置すればすぐさま教育現場が良くなるとは思わないが、国家の根幹をなす教育にかかるコストだけに、日本が諸外国に比べ著しく低い水準であることは認識すべきだと思う。 


   <参考文献>
(1)http://news.livedoor.com/issue/list/?issue_id=126
(2)平成18年版「教育指標の国際比較」(文部科学省)
  http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/03/06032718.htm


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