平成19年11月定例会 


平成19年11月定例会
 平成19年11月28日  『個人質疑』 

議長(梅村邦子君) 
 これより本日の会議を開きます。
 本日の会議録署名者には中里高之さん、鎌倉安男さんの御両名にお願いいたします。
 これより日程に入ります。最初に、日程第1より第22まで、すなわち第100号議案「名古屋市食の安全・安心条例の制定について」より第121号議案「当せん金付証票の発売について」まで、以上22件を一括議題に供します。
 この場合、質疑の通告がありますから、順次お許しいたします。
 最初に、水平かずえさんにお許しいたします。

    〔水平かずえ君登壇〕

(水平かずえ君) 
 

 皆様、おはようございます。
 お許しをいただきましたので、通告に従い、第100号議案「名古屋市食の安全・安心条例の制定について」及び第101号議案「名古屋市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について」、第104号議案「契約の締結について」を順次質問いたします。

 初めに、名古屋市食の安全・安心条例の制定について質問いたします。
 名古屋市が食の安全に関する施策を推進することにより、市民に信頼される安心で安全な食品が提供され、市民の健康が図られることは大変重要なことであると考えています。ここ名古屋は、元気なまちとして国内でも注目を浴びていますが、食の世界でも例外ではありません。その名古屋市が他の政令指定都市に先駆けて本条例を制定することは、非常に意義深いことだと考えます。
 しかしながら、昨今、食べ物は、経済優先、効率優先の社会の流れの中で、命をはぐくむものであるという視点が忘れ去られ、便利さ、日持ち、安さなどが優先されてきました。その結果、農薬の多用や食品添加物の不安などに加え、遺伝子組み換え食品、BSE問題、偽装表示の発覚、輸入食材の安全の問題など、私たち消費者は食の安全に大きな不安を抱き続けてきました。特に、最近のテレビ、新聞では食の信頼性が問われる報道が相次ぎ、消費者は何を信頼して食べたらよいのかという不安をさらにかき立てられています。
 事実、平成18年12月に市が実施した市民アンケートでは、食の安全に何らかの不安を感じている人の割合が7割以上に上り、輸入食品や事業者のモラルに対する不安や、食の情報の提供を求める声などが寄せられたと聞いております。また、本年7月に実施されたパブリックコメントにも、86名の市民や団体から合わせて122件の熱心な意見が寄せられています。
 このような状況におきまして、市が制定しようとしている食の安全・安心条例につき、3点質問させていただきます。
 第1点は、なぜ条例を制定するのか、その理由について市長にお尋ねします。
 第2点は、市民アンケートやパブリックコメントの意見を踏まえ、条例に名古屋市独自のどのような特色を持たせるのでしょうか。
 第3点は、市、事業者、消費者それぞれの立場を踏まえ、行政はどのようにリーダーシップを果たすのでしょうか。その手法として、今回の条例に基づき行動計画を策定し、積極的に食の安全・安心を推進するとのことですが、その行動計画の内容と策定のスケジュールを健康福祉局長に伺いたいと思います。

 次に、「名古屋市病院事業の設置等に関する条例の一部改正について」を質問いたします。
 市立病院は、市民がけがや病気をしたときにだれでも安心して受診できる医療機関として、地域で重要な役割を担っています。しかし、市立病院の現状は、平成14年度以降赤字が続いており、平成18年度決算では、診療報酬のマイナス改定があったことも影響して約12億円の赤字が生じており、赤字の累積額は約80億円に上ります。また、市立病院の病床利用率も平成17年度までは80%台を維持していたものが、平成18年度には78.5%と下がっており、患者数も減っております。このままでは、人口224万人の命を預かる市民病院が市民のよりどころとして機能しなくなる日がいずれ来るのではないでしょうか。このような不安を持つのは、きっと私だけではないでしょう。
 この事態を打開するには、市長が持っている病院長の人事権等を現場に近い立場の人間に委譲し、必要な施策を迅速に実行することが必要と思われます。
 こうした現状を受け、今回の条例改正案では、健康福祉局から独立した新たな病院局を設置し、地方公営企業法の全部を適用させ、市立病院の経営の安定化を図ることになりました。管理者を設置し、人事労務をもゆだねるシステムへの変更は、市長の市民病院改革への意気込みを示すものとして大いに評価できます。
 そこで、市長にお尋ねいたします。
 なぜ、今この時期に新しい局を立ち上げて地方公営企業法の全部適用を決めたのでしょうか。それによってどんな効果があり、本当に経営は改善されるのでしょうか。市民病院は市民のためにあるべきだと考えますが、全部適用により市立病院がどう変わっていくとお考えでしょうか。
 病院局を設置し、市民病院の立て直しを図っていくということから、そのトップである管理者、つまり新局長をだれにするのかは大変重要なポイントとなると思います。病院局長へはどんな人物を登用されようとしていらっしゃるのでしょうか。

 最後に、第104号議案「契約の締結について」をお尋ねします。
 名古屋市科学館の改築に関しましては、これまでこの本会議でもさまざまな議論がなされてまいりました。科学館といえば、市内の小学生はプラネタリウム見学をとても楽しみにしております。私もその1人でした。
 先日、私は最新鋭の機種を導入し、世界的に名高いニューヨークのヘイデン・プラネタリウムを視察いたしました。土曜日だったこともあり博物館は満員で、子供たちの笑顔がとても印象に残りました。その笑顔を見て、私は、名古屋市の子供たちにもぜひ世界に誇れる星空を見せてあげたいという気持ちを新たにした次第です。
 お聞きしたところでは、今回は、価格だけではなく性能などの条件も競わせる総合評価一般競争入札を行い、2社から応募があったようです。2社の入札価格差が9億円余りあったようですが、性能などの条件がよいということで値段が高いほうの会社が落札したと聞きます。この財政状況が厳しい折、あえて入札価格が高いほうの会社を選ばれたわけですが、その理由について教育長にお尋ねいたします。
 また、市民の皆さんは改築をとても楽しみにしています。
 科学館の今後の改築スケジュールについてもあわせてお尋ねいたします。
 以上、御答弁をお願いいたします。これで、私の第1回目の質問を終わります。(拍手)

市長(松原武久君)
 食の安全・安心条例の制定に関しまして、2点お尋ねをいただきました。
 まず、条例制定の理由でございますが、近年、BSEや食品中の残留農薬、食品の偽装表示などさまざまな問題が発生し、多くの市民が安全で安心な食の提供を求めておられます。
 食の安全は市民の基本的な権利でございまして、それを実現するためには、生産者から消費者まですべての人が食品の安全性に関する情報を共有化し、食品による健康への被害を最小限にするために協力して取り組まねばならないと、このように考えておるところでございます。
 こうしたことから、市、事業者、消費者がそれぞれの立場から、食の安全・安心の確保に向けてともに力を合わせて取り組み、市民の健康の保護を図ることを目的といたしまして、この条例を制定することとしたわけでございます。
 次に、条例の特色についてでございますが、名古屋市は飲食店等の食品関連施設が多数存在し、大量の食品が流通、消費されているという特徴がございます。
 多くの消費者が暮らし、事業者が活動する本市におきまして、市、事業者、消費者の三者がそれぞれの立場から、食の安全・安心の確保に取り組むことは非常に重要であると考えまして、この条例では、市及び事業者の責務、消費者の役割を明確に規定いたしまして、さらに、三者が広く情報や意見を交換し、お互いに理解し合う、いわゆるリスクコミュニケーションの考え方が重要であると位置づけたところでございます。
 このような特色を盛り込み、指定都市で初となるこの条例を制定することにしたものでございます。

 次に、病院事業の設置等に関する条例の一部改正に関しまして、4点お尋ねをいただきました。
 まず、地方公営企業法の全部適用を今する理由についてでございますが、病院事業は、平成11年度から13年度まで黒字を計上しておりましたが、御指摘のように平成14年度からは赤字が続きまして、平成18年度の決算では、診療報酬のマイナスの改定、あるいは医師、看護師の不足などによりまして約12億円の赤字を計上し、非常に厳しい経営状況となっております。
 平成19年度につきましても、引き続き医師、看護師不足によりまして、東市民・緑市民病院で病棟を休止しているところでございまして、さらに厳しい状況になると見込んでいるところでございます。
 こうした病院事業の経営状況を早急に、かつ抜本的に改善していく必要があると判断をいたしまして、平成20年4月に新局を立ち上げ、地方公営企業法の全部を適用することとしたところでございます。
 次に、地方公営企業法の全部適用の効果についてでございますが、平成20年4月からは、病院事業の管理者として病院局長を設置することになりますが、そのことによりまして経営責任をより明確にし、病院局長の強力なリーダーシップのもと、迅速な意思決定や機動的な経営を可能にしていきたいと考えております。
 また、成果主義を導入することなどによりまして、職員の経営参画意欲がさらに高まりまして、職員一丸となった経営改善が進むものと考えておるところでございます。
 3点目に、市民サービスの向上についてでございますが、全部適用後は、病院局長が先頭に立ちまして職員の意識改革に取り組みまして、経営基盤の安定化を図り、市立病院整備基本計画を着実に進めることによりまして、市民の医療ニーズにこたえ、より質の高い、安全で安心な医療が提供できる、そういう市立病院にしてまいりたいと考えております。
 4点目に、新局長の登用についてでございますが、来年の4月から新たに設置することとなります病院局長は、病院事業における経営責任者となるわけでございまして、議員御指摘のとおり、その選任は極めて重要な課題であると認識いたしております。
 病院局長は、喫緊の課題であります医師、看護師不足の解消を図ることなどによりまして経営を立て直し、市民の求める病院づくりに情熱を持って取り組める人材でなければならないと考えておりまして、病院事業に精通し、強い責任感やリーダーシップが発揮できる者を登用していきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

健康福祉局長(長谷川弘之君)
 名古屋市食の安全・安心条例の制定に関連いたしまして、行動計画の内容とスケジュールについてお尋ねをいただきました。
 まず、行動計画の内容についてでございますが、現在、食の安全・安心の確保につきましては、食品関係施設の監視指導や輸入食品の収去検査による安全確認など、さまざまな施策を実施しているところでございます。今回、条例の中で行動計画を策定することし、食の安全・安心の確保に関する施策の推進を総合的、計画的に図っていくことといたしました。
 この行動計画では、従来より行っている監視指導や検査に加え、新たに不良食品を確実に回収するための自主回収報告制度、事業者の衛生管理の積極的な取り組みを認定する自主管理認定制度、食の安全・安心モニター制度などを定める予定でございます。
 また、食の安全対策を行う保健所の業務の内容につきましても行動計画の中に位置づけて、重点監視や違反食品対策の強化を行うなど、より一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に、スケジュールでございますが、条例制定後速やかに行動計画を策定し、毎年度、食の安全・安心推進会議などの議論を踏まえ、必要な見直しを図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。

教育長(岡田大君)
 契約の締結、科学館プラネタリウムシステムの製造及び設置工事の請負についてお尋ねをいただきました。
 科学館で整備を予定いたしておりますプラネタリウムは、世界最大となる直径35メーターのドームに、限りなく本物に近い星空の再現、迫力ある動画の上映など、市民の皆様方に星空の美しさや宇宙の神秘、奥深さなど夢とロマンを感じていただきますとともに、次代を担う子供たちが天文学や宇宙開発への関心を高めることを目指しております。
 そのためには、より質の高いシステムの導入が必要と考えまして、地方自治法に基づきまして、価格だけではなくシステムの性能を総合的に評価して落札者を決定する、総合評価一般競争入札方式を採用し、業者選定を行ったところでございます。
 選定に当たりましては、元国立天文台長の海部宣男氏を初め学識経験者5名による審査委員会を設置し、応募2社からの提案を審査していただきました。その結果、光ファイバーを使用することで明るくシャープな星を投影できるドイツのカールツァイス社製の光学式プラネタリウム投影機の導入や、6台のプロジェクターを使用し、きめ細やかで迫力ある動画を再生する映像システム、また、朝焼けや夕焼けの明るさの変化を滑らかで自然に再現する照明装置などを提案した応募者が、価格評価では劣っておりましたが、それを上回る性能の差があると評価され、選定いたしたものでございます。
 今後の科学館改築スケジュールにつきましては、建物及びプラネタリウムにつきましては今年度中に、展示品については来年度中にそれぞれ実施設計を終え、その後順次工事に着手し、平成22年度中の完成を予定いたしておりますので、御理解賜りたいと存じます。

(水平かずえ君)
  

 御答弁ありがとうございました。
 食というものは、「人に良くする」という字のとおり元気を与えてくれるものです。そして、食は一生にかかわるものであります。だからこそ、条例をつくってよしとするのではなく、行政で問われる部分については市民の声を反映し、そして、食の番人として市民の安心・安全を支えてほしいと思います。
 病院局新局長は、市民病院運営に対し強力な権力を持つことになります。と同時に、経営責任を問われる立場となります。強力なリーダーシップとともに経営上の才覚が必要となる難しいポストだと思います。病院局長にすぐれた企業経営者の登用、病院長や医師に多くの患者を集められるカリスマ医師の招聘など、魅力のある市民病院になるよう努力をしていくべきです。
 その他の質疑は、我が会派の先輩、同僚議員の意見を踏まえつつ関係委員会で議論させていただくこととし、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)